ランナー膝

ランナー膝はランニングによる膝関節周辺のスポーツ障害の総称で、さまざまな病態が
含まれます。今回は、狭義のランナー膝として腸脛靱帯が膝部外側で摩擦し、
疼痛〈とうつう〉が発生する腸脛靱帯炎を主として述べていきましょう。  
腸脛靱帯炎はランニングによる膝障害の代表です。膝の屈伸運動を繰り返すことによって
腸脛靱帯が大腿骨外顆〈がいか〉と接触(こすれる)して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が
発生します。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発します(ほかにバスケットボール、
水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等)。 主因はオーバーユースです。
過剰なランニング時間と距離、柔軟性不足(ウォームアップ不足)、休養不足、硬い路面や
下り坂、硬いシューズ、下肢アライメント(内反膝)など、さまざまな要因が
加味されています。 大腿骨外顆周辺に限って圧痛が存在します。腸脛靱帯は明らかに緊張が
増し、時に靱帯の走行に沿って疼痛が放散します。初期はランニング後に痛みが
発生しますが、休むと消失します。しかし、ランニングを続けていると次第に疼痛は
増強して、簡単に消失しなくなってきます。症状の誘発方法(徒手検査法)として、
膝を90度屈曲して外顆部で腸脛靱帯を押さえてから膝を伸展していくと、疼痛が
誘発されるgrasping testが有用です。 保存療法が原則です。第1に局所の安静、つまり、
ランニングの休止が重要です。次に、大腿筋膜張筋など股関節外側部を主とした
ストレッチの強化、アイシングを徹底します。さらに消炎鎮痛剤の投与や、超音波などの
物理療法を行います。  いったん症状が出現すると、簡単には消失しないので発症初期の
決断、適切な休養期間が大切です。同一側の膝の負担を軽くする目的で、たまには普段と
反対回りのトラック走行も取り入れてください。手術治療は報告例がありますが、
一般的ではありません。

SAKIUTAでは整体・鍼灸診療にて対応いたしております。

参照:スポーツの鉄人に聞け