ジャンパー膝

痛みの強い急性期はランニングの休止を徹底しますが、局所の安静時期からでも下肢の
荷重運動を避け水泳、エアロバイク(踵でペダルを踏むように)、股関節、足関節、
アキレス腱を中心とした下肢のストレッチングを行います。自発痛や歩行時痛が消失したら
足趾でのタオルギャザー、足関節の軽いチューブトレーニングを行います。
明らかな圧痛(押すと感じる痛み。自発痛ではない!)が消失したらウォーキングから始め、
次に両脚踏み切りジャンプで痛みが出なければ軽いランニングを再開します
(硬い路面を避ける)。ただし、練習量を急激に増やすと、再び痛みが出やすいので
注意してください。
大腿四頭筋の柔軟性低下が要因の1つに挙げられます。特に成長期の長身選手は、骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、相対的筋短縮(筋肉が硬い)状態を招いた結果、そのストレスが
末梢の膝蓋骨周辺に蓄積するために起こる慢性・疲労性障害です。
ジャンプやダッシュなどによる膝関節の屈伸動作を頻繁に、かつ長時間にわたって行う場合、
膝伸展機構(大腿四頭筋が引っ張られることで膝蓋骨、膝蓋腱、脛骨結節にまで牽引力が
加わる)に過度な牽引力が繰り返し加わることで、膝蓋骨周辺に微細損傷を引き起こします。病態は腱実質部に出血、浮腫、ムコイド変性(結合組織の粘液変性)、フィブリノイド変性
(線維素様のものが組織に沈着して組織傷害や炎症を引き起こす)などの変化をきたし、
微少断裂や、最重症例ではまれに完全断裂に至ります。
12~20歳。特に10代の男性に多い。
罹患側に左右差はありませんが、チェックにて疼痛を訴えた選手の3分の1は両側例でした。そのため、片側に痛みを感じた場合でも、反対側の管理も重要です。
運動時に発生する膝前面の疼痛と圧痛、局所の熱感、腫脹を伴います。
重要な所見として、腹ばいにして膝を曲げると、大腿前面の突っ張ったような疼痛から
逃れるために尻上がり現象が出現します
膝蓋骨下極から膝蓋腱付着部(約7割)、膝蓋骨上極から大腿四頭筋腱付着部(約2割)、
膝蓋腱中央部から脛骨結節付着部(約1割)です(「病理・解剖」図)。
疼痛の程度によって治療が異なるため、病期を4段階に分けます。
最近では予防、再発防止用に装具の使用が勧められています。
ジャンパー膝は急性外傷ではないために運動指導者や選手の障害に対する知識が乏しく、
大半の選手は発症初期に医療機関を受診していません。治療を怠ると慢性化の原因にも
なりますので、運動指導者はこの疾患について正しく理解をした上で、練習内容や時間の
調整を十分に行ってください。

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